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今日の一曲:Maurice Ravel - Pavane pour une infante défunte

こういうペースでも続けるのが大事。

コード進行という目で解析したわけではないけれど、とにかく和声がきれいだ。というかメロディもきれいだ。まだ「サロン音楽」が成立できていた幸せな時代の残り香と言えるかもしれない。

ラヴェルの音楽からはどうも美しさのウラにギリギリと締め上げている何かを感じてしまう。ダンディな彼ならではの自律、自問、そういうエネルギーかもしれない。だからこそ、この手癖で力を抜いて書かれた曲からは、自然なラヴェル、普段着のラヴェルが見える。そういう妄想をしたくなる。

どうもドビュッシーラヴェル、サティという三人をくくってしまいがちだ。それが正当かはともかく、一種正統的な語り方でもある。というかサティが音楽史に登場するのがこのふたりもしくは六人組の関わりだからという面は強いかもしれない。

その三人の音楽の流れは、ドビュッシーが(まだつかみきれていないが)ある種ロマン派の延長での擬古へたどり着き、サティがつねにその時代時代の前衛を切り開いていったのに対し、ラヴェルはかなり徹底して自分の美学をもっていたように思う。それは一定程度ジャズ、そしてポップの一部と共通する姿勢かもしれない。

一週間のまとめ:2017年2月8日から13日まで

今日の一曲:スチャダラパー - ヒマの過ごし方 - 小川メモ
今日の一曲:New Order - True Faith - 小川メモ
今日の一曲:Franz Ferdinand - Ulysses - 小川メモ
今日の一曲:Mystical Complex - Kill Them All - 小川メモ
今日の一曲:Caravan Palace - Jolie Coquine - 小川メモ

とりあえずリズムについてつらつら考えてみた。これを単なる音符の楽譜上での音価の組み合わせととるのはあまりにもアホだ。とくにここでは音色や音量、スタッカートの有無など総合的なグルーヴ感、それとそのリズムが表す文化について意識したかった。

現状、バンドサウンドで単純な4th、8thフィールをやるのはどうなんだろうという思いがある。基本はそれでも、そこに何かしらスウィングや16thを入れていかないともうダメな耳になってしまっている。

そして、それは音色的には軽いものであってほしい。テンポは遅くてもいいけれど、それをつくるのは乾くてやや高めのスネアと深みのあるハット、丸みを帯びたキックだ。何言うてんのかようわからんけど。

ストパンクやヒップホップへの親近感と言うのがことリズムに関してはあらわなのだろう。まだまだ深く語れるテーマなのだが、まず一周目、頭のなかの整理としてはこのくらい。

今日の一曲:Caravan Palace - Jolie Coquine

昨日はすっかり忘れていた。まあそれくらいのほうが幸せかもしれない。

これは3年くらい前に聞き始めたのだったと思う。エレクトロスウィングというジャンルだと言われる。個人的にはネオソウルと似たものを感じる。ヒップホップやクラブミュージックがネタ元にしていたジャンルが、逆にその切り取られ方を飲み込んで生まれた音楽というわけだ。

だからだろう、クラブミュージックの側からみるとわりと雑なエディットがされているように聞こえるのだと思う。むしろこの人たちは音大を出たりして、ジプシージャズをしっかり演奏できるタイプのミュージシャンであって、そこに後から電子音や四つ打ちを付け足していっている。

僕はその姿勢のほうに魅力を感じる人種なのだろう。何かを先鋭化させていくより、既にある何かを組み合わせたところに新しさを読み込んでいく。だからその素材はなるたけシンプルなものであってほしい。

それにしてもフランス人のおしゃれさというのはすごい。クラブミュージックでいうとそれこそダフトパンクとかマデオンもそうだし、フレンチハウスもズルいと言いたくなるほど魅力的だ。そこにまた違う流れでジプシージャズや近代フランスのクラシックの伝統がある。豊かな国だ。

今日の一曲:Mystical Complex - Kill Them All

あまりクラブミュージックには詳しくない。だけど、某アイドルゲームの個人曲を通してサイケデリックトランスというのはそこそこ合うなと思って、とりあえずInfected Mushroomであるとかを聞いてみたりしていた。

そのセンで、クラブミュージックをやっている友人におすすめを訪ねたときにあたったのがMystical Complexだった。

曰く、サイケデリックトランスはシンプルでそこまではっきりクオリティや個性が出るわけではない。しかしこのハイテックフルオンはとにかくひとつひとつの音色や展開に凝っていて、一朝一夕では作れない職人の世界になっている。というかMystical Complexたちがすごすぎて、フォロワーがほとんどいない。……ということらしい。

門外漢にも、この曲たちにかけられた時間と熱量は感じ取れる。バンドサウンドとの根本的な違いは、楽器の現実的な制約に囚われているか否かのように思う。それぞれのシンセサイザーやサンプル、エフェクターの特性に左右されるとはいえ、そこで生み出せる音色の多彩さは比べ物にならない。演奏上の制約は皆無なので、制作者の頭のなかのイメージにどこまでも近づいていける。

ただ、自由度が高いゆえの難しさというのも存在するように思う。クラブミュージックの話を聞いていると、流行にキャッチアップしていくことの重要性の高さ、その入れ替わりのめまぐるしさに驚く。細かい理由はわからないが、現実の楽器という縛りがないのが大きいように感じる。

そこのところ、自分でやりたいというふうには思わない。やはり初期サティ的な美学、豊穣な響きに憧れる単純な音形というのは根本にある。ある意味Queenが好きなのも(とくにシンセを多用する前は)限られたリソースでどう複雑なことをやるかという面があるからかもしれない。とくにライブ。

リズムの話にひもづけると、やはりクラブミュージックほどの厳格さで追及していく気にはなれない。現実のドラムの制約のなかである種の理想型に近似していく。その試みじたいに魅力を感じているように思う。

 

今日の一曲:Franz Ferdinand - Ulysses

これも昔よく聞いていた。ポストパンクより先にポストパンク・リバイバルを聞いてしまっていたことだなあ。

彼らもリズムのつよさでのしあがったバンドだ。とくにDo You Want Toなんか、リフの音高じたいはただのオクターブだ。この曲も四音。

音を重視した歌詞づくりもより顕著だ。Ulysses,I find a new way,everybody knows it, you're never going home……単純な文の繰り返しがキャッチーさになる。

この曲のイントロのドラムはなんかローゼスのFool's Goldとか、マイブラのsoonとかを思い起こさせる。もとはファンクだったのだろうけれども、ヒップホップとしてシンプルにループ化された16ビート。かっこいい。

久々にライブ映像などをみると、前聞いてたときはよくわからなかった使っているギターなどが見えて楽しい。あとアレックスはセクシーだ。

さいきんはトランプ批判の9拍子曲などをやるくらいであまり活発なイメージがないけれど、ともかくもTake Me Outを作れるバンドなので、これからもがんばってってほしい。

今日の一曲:New Order - True Faith

友人と話していて、そういや昔よく聞いてたなあと思い出した一曲。シンプルなリズムがパッド系シンセで作られた音像を牽引していく。慈悲もなく鳴り続けるキックとスネアのパターンを16分のハイハットが彩り続ける。

コードは聞き直すとかなりよかった。メロディじたいはめちゃめちゃ美しいわけでもなく、むしろボーカルの声質と歌詞の流れで聞かせていくという印象だ。「あいゆすとぅしんくざっざでーい」の「で」のシンコペーション感。つまりここにもリズムの力がある。

パンク以後の、削ぎ落とされたグルーヴの一般化。それは後々のダンスミュージックを形成したものであると同時に、ロックンロールの派生ジャンルたるロックの根幹かもしれない。

 

今日の一曲:スチャダラパー - ヒマの過ごし方

ふつうにヒップホップの話をする。ヒップホップに耳をだんだん馴染ませていくなかで、これもまた重要なきっかけになった一曲だ。ゆるさと知性の同居するライムももちろんだけれど、むしろトラックに感動した。

元ネタはTony Williams' Life TimeのYou Make It Easyらしい。知らない曲だったけれどこれもまあGoogle検索のなせる業。ところが、言っちゃ悪いがこの元ネタを聞いてもあまりいいと思えなかった(もちろんうまいし素敵なサウンドなのだけれど)。この知らん元ネタとの差から、サンプリングの意味の一端に触れた気がする。

つまりは再解釈なのだ。原曲と自分の重なり合うところを切り取りつなげ、新しい意味を与える。それを直接的に、もとの音源を編集して行う。こういうことなのだ。

とすると、サンプリングというのはややラディカルだが、しかし人間の文化活動一般となんら変わらない行為ということになる。あるスタイルを身につけ再現するなかに、にじみ出る自分(近代的自我にとどまらない、それまでの生活環境のなかで保持してきたものすべて)。その本質は洋の東西を問わず、一定年数持続する文化すべてに共通するのではないか。

問題は、レコード(記録された音源)による聴衆の増加だ。そうなると、じぶんの保持している文化の伝播はコントロールできない。地球の裏側でじぶんの文化が穏当に受け継いでいられればまだいい。しかしVaporwaveのような直接的かつ破壊的な編集をされる可能性もある。そして、そうやって育ってきた後継世代は、まだ自分自身が現役のあいだに、同じ市場に参入してくるかもしれない。

つまりサンプリングについては、行為のなかに含まれる「商業ルートに乗った音源の無断編集」という点が、倫理的にも実際的にも大きい話なのだ。

……たぶんどっかにこういう記事はまとまっているんだろうし、なにかの受け売りかもしれないけれど、つらつらと頭のなかに浮かんだことを書いておいた。