今日の一曲:木村弓 - いつも何度でも

木村弓 「いつも何度でも」 - YouTube

・語り口はやさしく、中身はどこまでも

・無味無臭の音楽

 

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「日本的なもの」についてあーだこーだ言おうかともしたけれど、やっぱり書いておきたかった。

ご存知「千と千尋の神隠し」の主題歌だ。小さい頃に観ると怖い映画――幼い人が人ならざるものの世界に入りこむ物語。はじめて聞いたときにはそこまで響かなかったけれど、時間がたつにつれ味がわかるようになってきた。

この曲の素晴らしいところは歌詞だ。細かい解釈を披露するのは好みではないので手短にまとめると、「平明かつ綺麗な言葉で、深遠な主題を描き出している」点が凄い。普遍の極みとも言える。また、主題歌としては「題材の固有名詞を出していないのに、物語と見事に調和している」タイプの魅力がある。言ってしまえば「残酷な天使のテーゼ」的な。

サウンド面としては、この日本的な世界を舞台にした映画にリラ(ライアー)という中世ヨーロッパの楽器か、という感もある。ただやはり単純な純邦楽では素直には聞いてもらえないし、ピアノの硬さはこの歌に合わないのも正しいのかもしれない。その意味で、リラの優しいアタック感に、ザ・ベルカントというほどでもないスマートな歌い方というのがベターだったのだろうか。捨象された無味無臭の音楽。