今日の一曲:Sigur Rós - Hoppípolla

Sigur Ross - Hoppipolla - YouTube

・その国ならではの音

・静かで幸福な浮遊感

  

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 ファンには説明不要、これぞSigur Rósという浮遊感。とはいえ()とTakk..以外あまり聞き込めていないのだけれど。曲もこれまたベタにVakaやGlósóliが好き。

 そのGlósóliを音楽プレイヤーで聞いていて、「どんな曲聞いてるの?」と言われて、「寒いところの曲」と答えて笑われたことがある。でも間違っちゃねえだろうという思いを新たにしたのが、フィンランドに行った時の体験だ。

 寒さ自体は日本でも冬の北海道・東北や山に行ったらこんなもんだろうというぐらいだったけれども、音が違う。雪質がやわらかいのもあるけれど、郊外の森に行くとほんとうに生き物の気配が——針葉樹以外には——ないのを実感する。町の人口も少ないのと相まって、動きがない凍りついた世界のなかにいる孤独感があった。自分が田舎に行ったのもあるとは思うけれども。

 そりゃメタルかポストロックやるよ、と実感したひとときだった。じっさい当地のヒットチャート集を買ってみると、かわいいトイポップみたいなやつが日本でのマイナー感と比べ物にならないほど食い込んでいたし、スキー場でも「ど」がつくメタルがガンガンにかかっていた。

 民族性になにかしらの根源を求めようとしても、それは単なる個人のステレオタイプの反映になりがちだ。というかこのバンドはアイスランドのひとたちだし。けれども、このSigur Rósのボーカル・ヨンシーも故国の静かさと自分の音楽の関係について述べている。さらに加えて火山のエネルギーや、「島に見られている」という感覚など。出典が出てこないけれどもライナーノーツだったと思う。

 少なくとも学問的厳密性との区別をしておきながら、自分の作品づくりの動機にするのはいいんじゃないか。伊福部昭もそう言っている。となると、「日本の音」というのは何だろう。