今日の一曲:スピッツ - 夜を駆ける

spitz - 夜を驅ける (live)... - YouTube

・二面性

・日常から普遍へ

 

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 熱心に聞きはじめた邦楽は筋肉少女帯がさいしょだけれども、アニソンの延長線上だったし今の好みからはやや離れているのでスピッツについて書いておく。

 スピッツは二面性のバンドである。「かわいい子犬」、「キャンキャン吠える犬」。J-POP、オルタナティブロック。堅実なフロント、激しいリズム隊。自身のアルバム名にもあるように、丸い部分と尖った部分が混在している。

 その姿勢の両立は歌詞においても徹底している。草野正宗は耳で聞いてわかる平易な言葉しか使わない。しかしその組み合わせは論理を越えた世界を捉える。要素としては「僕」と「君」だけが登場するラブソングだけれども、決して真正面からは描かれない。「僕ら」は「似てない」し、「よくある赤い」糸ではない「細い糸」でしかつながっていない。愛だとか好きだとか、原色の言葉は可能な限り薄くされ、パステルカラーのなかに織り込まれていく。

 そして、このバンドがカラオケで今もなお気軽に歌われ合唱までされるようなトップチャート曲を書いたのだ。しかも最小限度のおもねりで。圧倒的なクオリティの暴力。

 

(1/24追記)

 以下のブログの内容にいたく同意したので、メモとして。

「スピッツです」の反応で大体分かる - まだロックが好き