今日の一曲:Mystical Complex - Kill Them All

あまりクラブミュージックには詳しくない。だけど、某アイドルゲームの個人曲を通してサイケデリックトランスというのはそこそこ合うなと思って、とりあえずInfected Mushroomであるとかを聞いてみたりしていた。

そのセンで、クラブミュージックをやっている友人におすすめを訪ねたときにあたったのがMystical Complexだった。

曰く、サイケデリックトランスはシンプルでそこまではっきりクオリティや個性が出るわけではない。しかしこのハイテックフルオンはとにかくひとつひとつの音色や展開に凝っていて、一朝一夕では作れない職人の世界になっている。というかMystical Complexたちがすごすぎて、フォロワーがほとんどいない。……ということらしい。

門外漢にも、この曲たちにかけられた時間と熱量は感じ取れる。バンドサウンドとの根本的な違いは、楽器の現実的な制約に囚われているか否かのように思う。それぞれのシンセサイザーやサンプル、エフェクターの特性に左右されるとはいえ、そこで生み出せる音色の多彩さは比べ物にならない。演奏上の制約は皆無なので、制作者の頭のなかのイメージにどこまでも近づいていける。

ただ、自由度が高いゆえの難しさというのも存在するように思う。クラブミュージックの話を聞いていると、流行にキャッチアップしていくことの重要性の高さ、その入れ替わりのめまぐるしさに驚く。細かい理由はわからないが、現実の楽器という縛りがないのが大きいように感じる。

そこのところ、自分でやりたいというふうには思わない。やはり初期サティ的な美学、豊穣な響きに憧れる単純な音形というのは根本にある。ある意味Queenが好きなのも(とくにシンセを多用する前は)限られたリソースでどう複雑なことをやるかという面があるからかもしれない。とくにライブ。

リズムの話にひもづけると、やはりクラブミュージックほどの厳格さで追及していく気にはなれない。現実のドラムの制約のなかである種の理想型に近似していく。その試みじたいに魅力を感じているように思う。