今日の一曲:BEGIN - 涙そうそう

自分が好きな曲で、チャートに食い込んでいて、かつほぼ全編ペンタトニックで作られていて、それでいてド和風でないが、どこかノスタルジック。いろいろと奇跡的なバランスだ。

ペンタが崩れているところはふたつ。「よみがえる日は 涙そうそう」の「日は」と「そうそう」。つまり終止する部分でもあり、またとても印象的なところでもある。逆に、どこまでもペンタを貫こうとするとどこか終止に違和感が出る場合が多いということになるかもしれない。もっと言うなら、テトラコルドの枠内で跳躍するより、その間にあるダイアトニックの音をはさんだりするほうが自然になるかもしれない。

ペンタのスムーズさはともすれば単調さに響くのかもしれない。そこをコードとの共同作業で、コードに対するテンションにしてみたり、スケールのなかにダイアトニックを入れたりすることで色彩感が出る印象がある。

日本の音楽における沖縄というのもなかなか考えさせられるテーマだ。「本土」と離れているがために、違う歴史をたどり、文化や経済環境が異なる土地となった。そのなかで、芸能の存在感は大きくなり、本土からいろいろな属性を仮託される対象になってしまった。

あえてBEGINとしておいたけれども、彼らはそんな沖縄出身ミュージシャンのなかでも、自分たちの伝統に紐づきながらもチャートとのつながりを保てる稀有な存在だと思う(とはいえ、この曲以外まだあんまりなじめていない……)。