今日の一曲:山田耕筰 - 赤とんぼ

ふと思いつくと、この曲も案外僕にとって大事な気付きを与えてくれている。

まずひとつに、「ペンタトニック」という概念・言葉を知るきっかけになった。なんとなく、ドレミファソラシドがないと音楽にはならないと思っていたその前提がひっくり返される感覚だった。

次に、日本語の高低アクセントにメロディを合わせるという発想をもたらした。これは今ではだいぶゆるくとらえているけれど、それでもひとつ重要な指針だ。

そして、西洋を知った日本人が日本の音素材で西洋音楽として読めるものを作ろうとした、その事実にじんと来る自分がいる。かつては作り物、偽物として忸怩たる思いをも抱いたが、もうそれでいいと思えるようになった。

「日本人」の音楽的「ふるさと」は、文部省唱歌でしかないのかもしれない。