今日の一曲:Claude Debussy - Cello Sonata

Claude Debussy - Cello Sonata - YouTube

・チェロとギター

・近代フランス音楽のかっこよさ

ドビュッシーの日本における受容

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 シューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」のアルペジョーネってなんだろう。と思って調べたところ、なんとギターと同じ音域でしかもフレットがついてる、けれども見た目や弾き方はチェロという鵺のような楽器だった。それをチェロで弾いてるということはギターとチェロの音域も近いんじゃないか。意識していなかったけれど、ギターはE2-D6、チェロはC2-G4。そして構えも、似ていないことはないような気もする。そういえばApocalypticaとか2cellosとかもいるし。さいきん、ほかの楽器の曲をギターで弾いてみるというのを考えていて、候補となる楽器を考えていたところだったのでとりあえずチェロの名曲をいろいろ聞いてみようと思った。

 するとやはりというか何というか、フランスものが自分は好きなんだということで、このドビュッシーのチェロ・ソナタが耳にとまった(あとフォーレラヴェルプーランクも気になる)。和声の雰囲気、メロディが好きという単純な理由だけれども、単純だけに度し難い。そもそも日本人の好きな西洋画といえば印象派=近代フランスなんだから、音楽も一番聞きやすいんじゃないかという幼稚な論理すら持ち出したくなる。とにかく近代フランスはかっこいい。いちばん好きなのはサティだが、彼はあまりチェロが目立つ曲を書いてくれていないので。

 ドビュッシーに惹かれた要因として、こないだ読んだ佐野仁美『ドビュッシーに魅せられた日本人』の影響もある。以下のページに概要がある。

■佐野仁美『ドビュッシーに魅せられた日本人ーフランス印象派音楽と日本近代』 - Noriko Yoshida's Home Page

 公的音楽教育においてはドイツ音楽が正統とされるなかで、言わば第一野党の役割を担ったフランス音楽の受容史を描くことで、当時の日本における西洋音楽のとらえ方さえもがあぶりだされてくる。そのなかでとくにドビュッシーは五音音階なんかを使ったり、「海」の表紙に北斎を使ったりしたりしたことで親日イメージがついたりしていく。そして、邦楽を推す人々もドビュッシーの語法を通して西洋音楽にのっかっていこうとする。なんとなくこんな感じなのかなーという断片的な知識が統合されていく感覚。名著。

 ここからは個人的なドビュッシー論。彼は精神性においてはのちの新ロマン派よりよっぽどロマンロマンしていると思う。初期のベルガマスクやアラベスクなんかもそうだし、派手な恋愛遍歴もそうだし、第一次世界大戦に際してかなりわかりやすいナショナリストになったり。戦後を体験せずに死んだことも含め、最後のクラシック作曲家といってもいいのかもしれない。

 チェロでも難しい曲なのでたぶん全部を弾きとおすというのは無理だけど、ひさびさに演奏者の視点からクラシックを眺めてみたいと思う。